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農業収入ゼロの百姓が気ままに綴る日々
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雨読メモ 01/19『等伯』 2019/01/20

 梅原猛さんの訃報に50年余り前の学生時代を思い出した。履修したのは一般教養科目の「倫理学」と専門科目の「美学」。どんな講義だったか覚えていない。ただ恥ずかしそうな語り口だけが印象に残っている。

 思わぬところで先生の名前を聞いて、驚いたことがある。場所は島根県那賀郡旭町(現浜田市)。いまにも崩れそうな茅葺屋根の下で暮らす画家・池田一憲さんを訪ねたとき、彼が口にしたのが先生のことだった。

 「先生が僕の絵に感動してくださってね。柿本人麻呂の調査で益田市へ来られた時でした。あれ以来、手紙をやりとりして、いつも励ましていただきました」。僕の目には池田さんの絵は暗~い作品が多い。それが先生の心を揺さぶったのだろう。

          **************

『等伯』上下(安部龍太郎著・文春文庫・2015年刊)

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 10年前の2011年から翌年にかけて日経新聞文化欄に連載された。でもほとんど読んでいなかった。絵画に疎い僕は、霧の中に浮かぶ松を描いた人いう程度の認識しかなく、その人の生涯についてもあまり関心はなかった。

ところが、ふとしたきっかけで絢爛豪華な狩野派の屏風絵に関心を抱いた。そして、あの乱世に狩野派に立ち向かった絵師がおり、それが長谷川等伯だったと知って、にわかに等伯に興味を覚えた。

ときあたかも正月。東京国立博物館では毎年正月に等伯の「松林図屏風」を展示するという。というわけで上下2冊を1週間かけて読んだ。読み終えた19日、朝日新聞の土曜版に「日本を代表する絵師・画家ランキング」が載っていた。北斎、広重、雪舟、若冲、さらには横山大観、竹久夢二、岸田劉生などとならんで長谷川等伯の名前も15位にランクされていた。

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          <長谷川等伯作「松林図屏風」上が右、下が左>

 かの「松林図屏風」は、中国伝来の水墨画を日本画として完成させた作品と評されている。6曲一双というのだそうだが、右と左の屏風に黒々とした松が迫り、ぼんやりと霞む松、ほとんど消え入りそうな松が向こうに並ぶ。霧を巧みに使った遠近法というのだろうか。

さて本書は、武家の生まれでありながら染物商、絵仏師の家に養子入りした等伯の生涯を、安土桃山から江戸時代にかけての時代背景を織り込みながら書いている。

信長と対立する能登に生まれ育った等伯が、絵師を目指し敦賀、比叡山を経て京に上る苦難の道、京都での狩野派との確執、最愛の妻の死、再婚、後継の息子の死など波乱に遭遇しながらも、信奉する日蓮宗の寺院の庇護、利休、秀吉の知遇、そして「松林図屏風」を世に問うまでを描く。

画家を描いた作品と言えば、モームの『月と6ペンス』、澤田瞳子の『若冲』など読んだことはあるが、安部の『等伯』ほど生死がかかる波乱万丈の作品はあまり知らない。


by shimazuku | 2019-01-20 11:37 | Trackback | Comments(0)