農業収入ゼロの百姓が気ままに綴る日々
by shimazuku
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
以前の記事
2018年 11月
2018年 10月
2018年 09月
2018年 08月
2018年 07月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 04月
2018年 03月
2018年 02月
more...
最新の記事
雨読メモ27/18 『鉄道員..
at 2018-11-15 09:26
柴木川渓谷を歩く 2018/..
at 2018-11-11 22:12
雨読メモ26/18 『原民喜..
at 2018-10-29 16:00
雨読メモ25/18 『斗南藩..
at 2018-10-13 15:00
雨読メモ24/18 『昭和の..
at 2018-10-10 09:31
記事ランキング
フォロー中のブログ
日替わり定食
山に暮らせば
隣のカモミール ~妻ラン...
最新のコメント
よう言った! パチパチ!
by toshi at 20:01
同感!
by toshi at 10:21
山口のタクシー会社さんの..
by umiko0 at 07:57
umikoOさん、コメン..
by shimazuku at 19:13
幼いころのタンポポと言え..
by umiko0 at 10:38
涙が出そうなくらい残念な..
by yumeko at 11:10
ぷっ♪ ま、メグ・..
by umiko0 at 13:52
高すぎる 信じられん ..
by anglimala at 21:44
なんでもプレオープンの入..
by 本当の噂話 at 23:30
はじめまして、zakky..
by zakky at 07:24
メモ帳
ライフログ
検索
タグ
ファン
画像一覧

雨読メモ22/18 『暗幕のゲルニカ』 2018/09/19

 もう40年も前、1978年の夏休み、僕はひとりになりたくて、ワイフにわがままを言ってアメリカを旅した。旅先の知り合いはただ一人、新聞社のニューヨーク支局長だったWIさん。ご自宅へうかがって驚いた。初対面のはずの奥さんは、高校時代に同じテニス部にいた一年後輩だった。

 食事をともにしながら彼女が言った。「MoMA The Museum of Modern Art, New York(ニューヨーク近代美術館)の<ゲルニカ>をぜひご覧なさい」と。翌日、MoMAに行って壁画のような<ゲルニカ>と対面した。

          ************

雨読メモ22/18 『暗幕のゲルニカ』

(原田マハ著・新潮文庫・20187月刊)

d0165740_16055940.jpg

 1937年、のちに総統となるフランコ将軍を支援するナチス・ドイツがスペイン北部の小都市・ゲルニカを無差別爆撃し破壊し尽くした。パブロ・ピカソは、パリ万博のスペイン館を飾る絵画の制作を求められ、空爆に抗議する長大な作品を描いた。名付けて<ゲルニカ>。

 縦3.5メートル、横8メートル。モノクローム。冷たくなった幼子を抱いて泣き叫ぶ母、折れた剣を手に横たわる兵士、両手を突き上げ空をにらむ人、怒る牡牛、恐怖にいななく馬…。爆弾も鮮血も描かれていないが、画面から戦争への怒りが伝わってくる。

 本書は2つの出来事が交互に描かれる。ピカソの恋人で写真家ドラ・マールの目を通して<ゲルニカ>制作過程とその後の展開をたどるのが1つ。もう1つは、ニューヨークの世界貿易センターが崩壊した2011911テロのあと、国連安保理ロビーに掲げられた<ゲルニカ>のタペストリーが突然、黒幕で覆い隠された事件の顛末を追う日本人女性のひたむきな行動。

 MoMAの八神瑤子はピカソの研究に打ち込む学芸員で、9.11テロで夫を失っていた。アメリカは復讐に燃えてイラク戦争に突入する。そんなアメリカで、ピカソの遺志により長くMoMAで<亡命生活>を送った<ゲルニカ>をもう一度展示しようと奔走する。

 1981年、ピカソの死から8年後、<ゲルニカ>はMoMAからスペインに返還された。作品は「2度と祖国を離れることはない」とされてきた。しかし、「いまこそアメリカで再展示したい」と熱望する八神.。そんな彼女に手を差し伸べてくれたのは、作品の制作過程を知る数少ない一人であるスペインの富豪とMoMA創設者の子孫による瀬戸際の折衝だった。

 かくて<ゲルニカ>はテロへの厳戒体制のもと、密かに海を渡りMoMAに「里帰り展示」された。

 史実とフィクションが交錯してはじめ頭が混乱した。<ゲルニカ>誕生物語と思い込んでいた僕は、途中から八神の拉致、謎のような富豪の御曹司とピカソのつながりなどに引き込まれて、一気に読んでしまった。そして、40年前にMoMAで見た<ゲルニカ>を思い出して感動した。

 著者の原田マハさんは『いちまいの絵』(集英社新書)で名前だけは知っていた。でも、ご自身がキュレーター(学芸員)だったとは知らなかった。


 こういう本に出合うと心がほかほかする。原田さん、そしてMoMA<ゲルニカ>鑑賞をアドバイスしてくれたIさんの奥さん、ありがとう。


[PR]
by shimazuku | 2018-09-19 16:07 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : https://shimazuku.exblog.jp/tb/27116055
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。