農業収入ゼロの百姓が気ままに綴る日々
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日刀保たたら再訪

2011/02/07(火)
 4日から5日にかけて島根県奥出雲町の「日刀保(財・日本美術刀剣保存協会)たたら」を訪ねた。1977年の復活以来ほとんど毎年のように見学している。大学に籍を置いていた10年あまり、入試シーズンと重なって3回くらい行きそびれたが、それでも深夜に家を出て早朝の「鉧(けら)出し」の感動を味わい、すぐとんぼ返りして試験に立ち会ったこともある。鑪(たたら)の操業はいつ見ても、ぼくの心を揺さぶる。
 砂鉄と木炭を特殊な土で築いた炉に投入して3昼夜、村下(むらげ)=技師長の指揮のもと2トンほどの鋼を生み出す営みは、世界で唯一「日刀保たたら」だけが保持している。鉄鉱石、コークス、石灰石を使った現在の製鉄法とは異なり、アジア大陸から伝わった技術を改善して1500年以上続いてきた、いわば我が国の製鉄の原点がここにある。大正から昭和初めの一時期と戦後30年あまり途絶えていた鑪が復活したのは「日刀保たたら」の名称が示すように、日本刀の材料として鑪の鉄(玉鋼)が不可欠だからだ。
 復活するには村下の技術が必要である。それを可能にしたのは安部由蔵さんという村下が戦時中に鑪を操業した経験を持っていたからだ。彼は既に亡く、あとを継いだ木原明さんがいま操業を指揮している。もう一人、安部さんの娘婿・渡部勝彦さんも村下の技を継承しているが、昨年から体調を崩しているため、村下補佐の堀尾さんや三上高慶さん(刀匠)らががんばっている。
 復活以来、鑪の操業は毎年1月下旬から2月上旬だけ行われる。週1回ずつ操業し、今年は3回だった。この操業、いつも順調とは限らない。砂鉄の調合、窯土(築炉材料)のあんばい、送風の加減、窯土と砂鉄の溶け具合など微妙な要素が絡み合って、時に操業不能に陥ることもある。1回に木炭と砂鉄を12トン前後ずつ使うから失敗は許されないが、過去に数回、中断に追い込まれた苦い経験もある。なにしろ現代製鉄と違って、炉の中の様子は木呂穴(きろあな)と呼ばれる送風口わきの小さなのぞき穴と炎の上がり具合や色で判断するほかない。鑪製鉄で村下の経験と判断力が問われるゆえんである。
 村下とて思い描いた鋼が生まれたかどうかは、窯を壊して鋼塊が姿を現すまでわからない。さらに言えば、鋼塊を割ってこぶし大にして初めて操業の成否がわかる。炉の中は1600度前後、鑪の建屋の中は40度前後、それにもうもうと上がる炭や土ぼこり。12時間交代で3昼夜の労働は、並みの体力では耐えられない。
 妖しい炎柱の色、炉内で鉄が沸く音、流れ出る溶岩のようなノロ(鉱滓)、鞴(ふいご=送風機)のきしみ…。これらが醸し出すある種の神秘性、炎熱とほこりまみれの労働、これらがないまぜになった光景が、ぼくが毎年のように鑪に引き寄せられる理由なのであろう。
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by shimazuku | 2011-02-07 11:18 | 中国山地 | Trackback | Comments(0)
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