雨読メモおまけ『広辞苑』第7版 2018/01/14
きのう昼前、電話が鳴った。「ご予約いただいていた本が入荷しました。お買い物のついでにお立ち寄りください」。首を長くして待っていた『広辞苑』第7版が予告より3日遅れて、ショッピングセンターの本屋さんに届いた。
<写真=広辞苑第7版。左の黒い文庫本がおまけ>
三浦さんの6年前の本屋大賞『舟を編む』は、辞書の編纂をテーマにしたけっこう面白い本だった。『広辞苑』の編集者をモデルに書いたらしい。というわけで、辞書そっちのけで、150頁ほどのおまけを先に読んだ。
国立国語研究所と国語辞典のつながり、辞書に使うフォント(書体)のエピソード、挿入されているイラストの作者、辞書の函をつくる職人、最終工程である製本のプロフェッショナル、といった辞書づくりの裏話が(単なる辞書のPRにとどまらず)嫌みのないタッチで描かれている。
3時間足らずで読み終えて、「さすが岩波、うまいなあ」と感心した。
ところで、束見本という出版業界の用語をご存じだろうか。「つかみほん」と読む。本のカバーや函をつくるため、実物と全く同じ紙、同じページ数・サイズの、何も印刷されていない、いわば見本本。
僕も在職中に1000頁を超える年表はをつくったことがあって、その時に初めて知った。外見だけは本物そっくりだが、中身はすべて白紙の本だから何の役にも立たない。「出版屋さんてもったいないことするなあ」と感じ入って、いまも『年表 ヒロシマ』という分厚い本の束見本が書庫に眠っている。
さて新版『広辞苑』の「台湾」の表記が「台湾省」となっていて、台湾政府がクレームをつけるなど、早くも論議の的になっている。この辞書、これからも何かと物議をかもすかもしれない。